SPDの接続方法

SPDは電源線や通信線のような「線路」と「接地」との間に接続することが基本ですが、その接続方法はSPDの種類によって異なります。

1.SPDの種類

2.SPDの接続方法

(1)電源用SPDの接続方法

(2)通信・信号用SPDの接続方法
 A.比較的大きな電流(~DC3Aまで)が流れる機器が保護対象の場合
 B.極端に耐電圧性能の低い(トランジスタ等の半導体素子)部品が用いられている機器が保護対象の場合
 C.  高速(高周波 10MHz以上)回線の防護の場合
 D.多回線が接続される機器が保護対象の場合

1.SPDの種類

SPDの接続方法は大きく分けて以下の2種類に分けられます。

(1) 電源用SPDの接続方法

(2) 通信・信号用SPDの接続方法

2.SPDの接続方法

(1)電源用SPDの接続方法

電源用SPDは一般的に図1のように接続します。

・SPDは被保護機器の1次側(外線側)に接続します
・SPDは線路に対して並列(ぶら下げて設置)に接続します
・SPDと被保護機器の接地を共通で接続します(共通接地)
・SPDはSPD用分離器と組み合わせて設置します

図1-電源用SPDの雷サージ防護の例(接続例)

電源用SPDは線路に対して並列に接続(ぶら下げて設置)して下さい。直列に接続(回線に割って設置)した場合、被保護機器への電源供給を阻害してしまいます。

被保護機器の接地は必ずSPDの接地と共通で接続して下さい。
接地を別々とした場合、SPDによる雷サージの防護効果が発揮されません。

図1のように、SPD分離器を用いることで、万一SPDの能力を超える雷サージが侵入し、SPDが故障しても安全に回路からSPDを分離できます。
SPD分離器を設置しない場合、SPD故障時にSPDが発火する恐れがあります。

また、電源用SPDは、設置する場所によって使用するSPDのタイプが下記の表1の通り異なりますのでご注意ください。

表1-電源用SPDの設置場所によるSPDのタイプ

SPDを設置する場所 使用するSPDのタイプ 弊社の主なSPD

電力引込口付近など
(直撃雷の分流(侵入)
が想定される場所)

漏電遮断器の1次側 
または
漏電遮断器なし
※1

「クラスⅠ」の
「漏電遮断器1次側用」SPD
および
「クラスⅠ」の
「漏電遮断器2次側用」SPD
を併用します

MZS-NPE
および
MZS-200AV
を併用します

漏電遮断器の2次側
※2

「クラスⅠ」の
「漏電遮断器2次側用」SPD

MZS-200AV

分電盤内、制御盤内
など

漏電遮断器の1次側
または
漏電遮断器なし
※1

「クラスⅡ」の
「漏電遮断器1次側用」SPD

・SMBP-MZSR200JK
123」AR

・MZSR-200JK
1」ARI

漏電遮断器の2次側
※2

「クラスⅡ」の
「漏電遮断器2次側用」SPD

・SMBP-MZSR200JK「23
・MZSR-200JK「234

電気・電子機器の直近 「クラスⅢ」のSPD MZAC-200

※1 漏電遮断器の1次側または漏電遮断器の無い場所では必ず漏電遮断器1次側用のSPDを使用して下さい。
「漏電遮断器2次側用」のみを使用すると、SPDが劣化した際に発火する恐れがあります。また、併せてSPD用分離器も設置してください。

※2 漏電遮断器の2次側にSPDを接続した場合は、サージ侵入時に漏電遮断器が動作することによる停電、又は漏電遮断器の故障が発生する可能性があります。

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(2)通信・信号用SPDの接続方法

通信・信号用SPDは防護回線によって以下の通り接続方法が異なります。

A.比較的大きな電流(~DC3Aまで)が流れる機器が保護対象の場合(例:放送回線やリレー接点回路など)

比較的大きな電流(~DC3Aまで)が流れる回線に接続する機器の防護例を図2に示します。

・SPDは被保護機器の1次側(外線側)に接続します
・SPDは被保護機器に対して並列(ぶら下げて設置)に接続します
・SPDと被保護機器の接地を共通で接続します(共通接地)

図2-比較的回路電流が大きな回線に接続する機器の雷サージ防護の例

放送回線やリレー接点回路のように電流が大きい通信回線を保護する場合、電源用SPDと同じ接続方法「線路に対して並列(ぶら下げて設置)に接続」になります。

なお、通信用SPDは回路に抵抗(インピーダンス)が組み込まれているものがあります。そのため、電流が大きい回路では線路に対して直列に(回線に割って)このSPDを設置すると発熱や電力損失が発生してしまいます。ご注意ください。

上記通信回線用の当社の通信用SPDは以下の表2の通りです。
詳細は各製品ページを参照ください。

表2-比較的大きな電流(~DC3Aまで)が流れる回線の防護用SPD

製品名 主な用途
SMH-CLP-K2

放送回線、リレー接点回線等
(~DC180V、~DC3Aの回線用)

ZP-K2
SMH-CLP-DC

DC48V信号回線等
(~DC52V、~DC3Aの回線用)

ZP-DC48
ZP-DC24

DC24V信号回線等
(~DC27V、~DC3Aの回線用)

また、上記に加えて線路間の電位差を抑えたい場合や、線路に直列に抵抗を入れると測定値に影響を及ぼす可能性がある場合は、以下の表3のSPDが適しています。

表3-線路間に電位差を発生させないようにしたSPD

製品名 主な用途
SMH-CLP-N1

平衡回線、風向風速計、日射計、雨量計、湿度計等
※線路間の電位差を抑えたい機器の防護用
(~DC52V、~DC3Aの回線用)

ZP-N1

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B.極端に耐電圧性能の低い(トランジスタ等の半導体素子)部品が用いられている機器が保護対象の場合(例:4-20mA回路、電話回線など)

特に耐電圧性能が低い半導体部品を用いている回路には図3に示すような多段防護回路(図3は当社H形回路)を用いて防護します。

・多段防護回路(当社H形回路など)を内蔵したSPDを使用します
・SPDは被保護機器の1次側(外線側)に接続します
・このSPDは被保護機器に対して直列(回線に割って設置)に接続します(向きに注意して下さい)
・T端子側を被保護機器側に接続します
・SPDと被保護機器の接地を共通で接続します(共通接地)

図3-多段防護回路の雷サージ防護の例

表4-当社H形回路の構成部品

GDT

Gas Discharge Tubes
(ガス入り放電管)

堅牢な構造のため電流耐量が大きいことが特徴です。
ABD

Avalanche Breakdown Diode
(アバランシブレークダウンダイオード)

急峻な電圧上昇をするサージに対し定電圧で動作がすることができますが、電流耐量が小さいことが特徴です。
Z インピーダンス 侵入したサージを、最終的にGDTに動作移行させるためのインピーダンスです。

電話回線や4-20mA回路のように被保護機器に極端に耐電圧性能の低い(トランジスタ等の半導体素子)部品が用いられている回路を保護する場合、雷保護効果を高めるために通信用SPDを線路に対して直列に接続(回線に割って設置)する多段防護回路(H形回路など)の通信用SPDを使用することで、被保護機器を保護することができます。

上記のような多段防護回路を用いた当社の通信用SPDは以下の通りです。
詳細は各製品ページを参照ください。

なお、H形回路には回線の公称電圧にあわせてDC5V回路用(~DC9Vまで)、DC12V回路用(~DC13.5Vまで)、DC24V回路用(~DC27Vまで 4-20mA回路用はこの電圧の製品です)、DC48V回路用(~DC52Vまで)の4種類の製品があります。

表5-当社の多段防護回路を用いたSPD

製品名 主な用途

SMH-CLP-H3
6V12V24V48V

伝送・計装回線
(RSS232、4-20mA回路など)

ZP-H3
6V12V24V48V

SMH-CLP-EN 公衆回線
ZP-EN1
ZP-EN3 ISDN回線、xDSL回線、デジタル専用線
ZP-H2-H1 RS422、RS485

※参考(H形回路について)

H形回路の動作例を図4に示します(この図は、SPDに1.2/50μsの電圧インパルスを印加したときの、SPDの被保護機器側T1端子-接地Eとの間の電圧と外線側L1端子-接地Eとの間の電圧を観測したものです)。H形回路は、図3の左から侵入してきた雷サージをまず、ABDが低い電圧に制限します(図4の黄色線)。次いでインピーダンスZによって電圧降下が起き、GDTの動作電圧に達するとGDTが放電開始してアーク電圧を10V程度に制限します(図4の水色線)。この段階では、ほとんどのサージ電流をGDTが通電するため、この回路のSPDの電流耐量はGDTに依存します。耐電圧性能が低い機器に対して、低電圧防護レベルと高電流耐量を確保することができます。

図4-H形回路の動作例

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C. 高速(高周波 10MHz以上)回線の防護の場合

高速回線の場合は図5に示すようなA1形回路を内蔵した通信用SPDを用いて防護します。

・A1形回路を内蔵したSPDを使用します。
・SPDは被保護機器の1次側(外線側)に接続します
・このSPDは被保護機器に対して直列(回線に割って設置)に接続します(向きに注意して下さい)
・T端子側を被保護機器側に接続します
・SPDと被保護機器の接地を共通で接続します(共通接地)

図5-A1形回路の雷サージ防護の例

多段防護回路は、半導体雷防護部品(ABD)が使用されているため静電容量が大きく(数百pF)、高速通信線路に挿入すると伝送損失が大きくなるという問題があります。

A1形回路は、半導体雷防護部品を使用していませんので、伝送損失を低く抑えつつ大きな耐電圧性能を確保でき、高速通信を行う回線の雷防護に適しています。

上記のようなA1形回路を用いた当社の通信用SPDは以下の通りです。
詳細は製品ページを参照ください。

表6-当社のA1回路を用いたSPD

製品名 主な用途
ZP-A1 公衆回線用

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D.多回線が接続される機器が保護対象の場合(防災監視盤、中央監視装置など)

センサーなどペアケーブル(2線)ではない場合や多回線の雷サージ防護に最適なNM形回路による防護例を図6に示します。この図は4線の例ですが、更に多回線の場合にもSPDを増やすことで対応可能です。

・NM形回路を内蔵したSPDを使用します
・SPDは被保護機器の1次側(外線側)に接続します
・SPDは被保護機器に対して並列(ぶら下げて設置)に接続します(向きに注意して下さい)
・線路間毎にSPDを設置します
・SPDのT側端子同士(T1端子同士およびT2端子同士)を接続します
・SPDと被保護機器の接地を共通で接続します(共通接地

図6-多回線防護用NM形回路を用いた雷サージ防護の例

図6のように、例えば、多数のセンサー等を集中して監視するような場合、ICの端子間(線路間)に電圧が発生します。そのため、ICが接地に対して十分に耐電圧がある場合であっても、この線路間の電圧によって故障を引き起こす可能性があります。

このようなケースではNM形回路を内蔵した通信用SPDを線路間毎に設置することで防護できます。

上記通信回線用の当社の通信用SPDは以下の通りです。
詳細は各製品ページを参照ください。

表7-多回線防護用SPD

製品名 主な用途
SMH-CLP-NM

多芯計測回線、防災監視盤(多芯)
風向風速計、白金式温度計
中央監視装置

ZP-NM
HOWL2 自動火災報知設備

※参考(NM形回路について)

NM形回路は雷サージが侵入した際にICの各線路間に電圧が発生しないように工夫した防護回路です。線路と対地間に侵入した雷サージは、その極性に応じてダイオードによって一定の方向に流れます。このとき、図6のGDTのギャップが一つだけ放電します。被保護機器の各端子と接地間には、この電圧(まったく同じ電圧)がかかりますので、線間に電圧が発生しないことになります。

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