3Dパターンと放電現象の種類

部分放電測定による絶縁劣化診断方法について

高電圧の設備に発生する放電現象は、その設備の電圧の周波数と同じ周期で繰り返し発生し、特定の位相において特徴的に集中します。

一方で、放電現象以外のノイズは、設備の電圧の位相とは無関係に現れます。

もう一つの特徴として、その放電現象が発する信号の周波数(パルス形状)は、その放電現象が繰り返し発生した際、それぞれが似た周波数の値(似たパルス形状)になります。

設備の位相(φ)と信号の周波数(n)に加え、信号の大きさ(q)の3つの次元を利用し、部分的な集合(クラスタ)に分ける作業をクラスタリングと呼び、その結果として不要な部分がフィルタされることとなります。

3つの要素から得られる図は、「φ-q-nパターン」や「φ-q-n分布図」、「3Dパターン」、「3D分布図」、「部分放電(PD)分布図」などと様々な名称で呼称されています。

放電現象の種類によって3Dパターンの特徴が変化することが判明しており、得られた図の形状や信号の大きさなどを絶縁劣化の判定基準として用いることができます。

3Dパターンの表示イメージ

主な3Dパターンと放電現象

高電圧の設備は多種多様であり、放電現象にもそれぞれに特徴があります。

代表例として、電力ケーブルを対象とした際に現れる3Dパターンの形状特徴が、何の現象を示しており、その現象の重大度がどの程度であるか、いくつか簡易的に記載します。

放電現象の種類 ボイド放電、部分放電 コロナ放電
3Dパターン見本
予防保全優先度

劣化懸念ありの場合:優先度:大

劣化初期の場合:優先度:中

優先度:小
絶縁リスクの有無 リスク有り リスク無し
備考 最終的に絶縁破壊、地絡に繋がる可能性有り ケーブルの終端接続部に発生するコロナ放電で絶縁体内部に関係しない

放電現象の種類 フローティングポテンシャル 外部表面放電
3Dパターン見本
予防保全優先度 優先度:小

劣化懸念ありの場合:優先度:中

劣化懸念なしの場合:優先度:小

絶縁リスクの有無 リスク無し リスク無し
備考 誘導に起因する電荷の移動を拾ってしまう場合がある シース(被覆)の外側表面の状態の不均一性による電界集中で起きる局部的な放電現象であり、シースの劣化が進むと放電の強度、頻度が増す傾向がある

いずれの放電現象も位相に対して特徴的な分布パターンにより状態把握が可能です。

なお、厳密には、これら放電は全て部分的に発生するため、全て部分放電と表現することができますが、絶縁物内部の局所的な放電(ボイド放電)のことを部分放電と呼んでいることが一般的です。

また、油式変圧器やSF6 GISなど電力ケーブルではない場合は上記とは判断結果が異なり、特徴的な3Dパターンが現れた場合は、何らかの追加対応が必要になる可能性が大きくなります。