雷対策の基本的な考え方

雷対策の目的は、「建物や人を守る」ことと「建物内の設備を守る」ことに大別されます。雷保護システムの分類と、SPDなど雷防護製品を用いた雷対策の考え方をご紹介します。

雷保護システム

外部雷保護システム

落雷(直撃雷)による建物の損傷・火災を防ぐことを目的としています。避雷針を含む「受雷部システム」、「引下げ導体システム」、「接地システム」の3つで構成されます。建物ではなく避雷針で雷を受けることによって、雷電流を大地までスムーズに流すシステムです。落雷を防ぐことはできないため、「あらかじめ雷(電流)の通り道を作って起き、そこを通ってもらうことで建物や人へのダメージを減らそう」という考え方です。なお、雷による被害は直撃雷だけでなく、逆流雷や誘導雷によるものがあります。そのため、直撃雷を対象とした外部雷保護システムだけでは雷対策として不十分であるということに注意してください。

内部雷保護システム

建物に落雷があり、外部雷保護システムを通って大地に雷電流が流れると、大地の電位が上昇し、周囲との間に電位差が生じます。そのため、接地を共通化して電位差を発生させないようにする「等電位ボンディング」を基本とした保護システムです。電位差が逆流雷として建物内に侵入するのを防ぎます。

電気機器や設備のための雷保護システム

誘導雷による被害を減らすことを目的としたシステムです。雷が発生すると、莫大な電磁界が発生します。この電磁界によって、金属線路に雷サージ(誘導雷)が発生します。雷被害のほとんどは、この誘導雷によるものだと考えられています。誘導雷の発生も防ぐことは難しいため、「発生した誘導雷を侵入させない」という考え方から成るシステムです。

SPDを用いた雷保護システム

SPDを用いて機器や設備を保護する方法です。SPDは、誘導雷が侵入してくるとそれを接地に受け流すため、機器に誘導雷が侵入することを防げます。機器とSPDの接地を共通にする点で、内部雷保護システムと密接に関わっています。

等電位ボンディング法(共通接地法)

接地が別々であると、どこかの接地電位が上昇したときにほかの接地との間に電位差が発生します。この電位差がケーブルを通して機器に侵入します。もし電位差が機器の耐電圧以上だった場合、機器は耐圧破壊によって壊れてしまします。そのため、「接地を共通化して電位差をなくす」ことを基本としているのが等電位ボンディングです。

等電位ボンディング
図1:等電位ボンディング法

 保護したい機器に接続しているケーブルとアース線との間にSPDを設置し、機器とSPDの接地を共通にします。SPDを通して接地が共通化されているため、電源線と通信線間の電位差を生じることがなく、機器を防護することができます。

バイパス法

アース線がないと等電位ボンディング法は行えません。そのため、「接地を介さずに雷サージを別のケーブルに逃がす」バイパス法があります。

バイパス法
図2:バイパス法

保護したい機器の電源線と通信線をSPDを介して接続します。一方のケーブルから雷サージが侵入すると、SPDが動作することで、雷サージは機器の中を通らず、もう一方のSPDに流れていきます。そのため、機器はサージの影響を受けずにすみます。接地が取りづらい一般家庭などで用いられる方法です。

絶縁法

電源線側には、高耐圧の耐雷トランスを使用して、電源系統からの絶縁を確保し、雷サージ等が機器の中をぬけていかないようする絶縁法があります。通信線側には、図3のように通信用SPDを使用する方法と図4のように絶縁トランスを使用する方法があります。また、光ファイバーケーブルを用いる方法もあります。あらかじめサージ電圧の大きさを想定できる場合に有効です。

図3:電源線側には耐雷トランス、通信線側には通信用SPDを使用する場合
図4:電源線側には耐雷トランス、通信線側には絶縁トランスを使用する場合

耐雷トランスの耐電圧によって、保護機器内部への雷サージ侵入を防ぐ方法です。侵入する雷サージの電圧の大きさが想定できる場合(例えば、直撃雷がない、建築物内部等)に有効な方法です。

分離接地法

接地を共通化できない場合には、雷サージ電流が流れ込んだ時、接地間に電位差が発生し、機器を破壊します。その対策のため、接地間に接地間用SPD(アースバランサー)等を接続し、雷サージ等の進入の際に接地間用SPDが動作することで等電位化する方法です。

分離接地法
図5:分離接地法